T-Select MHC Tetramerは、ウィルス抗原特異的、あるいはがん抗原特異的CTLの検出用試薬として用いられています。しかしながら、ウィルス抗原と異なり、がん抗原特異的CTLの数は非常に少なく、採血直後に検出することが非常に難しい場合が多いと考えられます。そこで、短期間のペプチド刺激培養後に、がん抗原特異的CTLの血中頻度を算出する方法として考案されたのが96-well plateを利用したMLPC法(Mixed Lymphocyte-Peptide Cultures)です。メラノーマ患者に対するワクチン療法の結果、患者末梢血中の特異的CTL数が増加することをMLPC法で確認したKaraniksらの論文(J. Immunol, 2003, 171:4898)を参考に、MBLにて方法を改良し、より簡便に、より経済的に、健常人末梢血からがん抗原特異的CTLを誘導する方法を考案しました。
がん抗原WT1を例にして、96-well MLPC法の手順を以下に示しました。HLA-A*24:02陽性健常人末梢血よりPBMCを分離し、96-well MLPC法にてWT1(mutant)特異的CTLを誘導しました。ペプチド刺激後、14日目にT-Select WT1(mutant)Tetramer(Code No. TS-M014-1)で染色を行いました。まず96-well plateの1つのレーン毎にサンプルをプール(8 well分)し、12プールをそれぞれ染色しました。次に、テトラマー陽性細胞が検出されたレーンから1wellずつサンプリングを行い、テトラマー試薬で染色して特異的CTLの存在しているwellを同定しました。これらの陽性well数より、以下の計算式を用いて、特異的CTLの採血時における存在頻度を算出しました。
マウスモデルは感染実験、ワクチンの開発、免疫療法の検討など、生体内のさまざまな免疫応答の観察に使用されています。
T-Select Mouse MHC Tetramerは、マウスの抗原特異的CTLを検出することができます。MBL社内検討の結果、次の方法で、より早く、安価で簡単に抗原特異的CTLを誘導可能であることが分かりました。まず、目的の抗原ペプチドとヘルパー作用の報告がある抗原ペプチドを混合し、免疫賦活剤とエマルジョン化して腹腔免疫します。最後の免疫から7-11日後に脾臓を摘出します。脾細胞はフラスコ内でペプチド刺激して1週間培養します。下図にタイムスケジュールを示します。免疫回数は抗原によって違いますが、社内検討では、1-4回で抗原特異的CTLを誘導することができました。個体差がありますので、1抗原に対して2匹以上のマウスを用いることをお勧めします。詳細は、各テトラマー製品のデータシートをご覧ください。
OVAテトラマーを用いた細胞染色時の、CTL誘導方法の詳細なプロトコールもございます。
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