CD8分子は、生体内においてHLAとCTLの結合を補佐することが知られています。そのため、HLA分子にはCD8分子と結合する部位が存在します。T-Select HLA class I Tetramerは、CD8分子と非特異的に結合するHLA分子のα3ドメイン内の1箇所に変異を入れています。これにより、CD8分子とテトラマー試薬の非特異的な結合が抑制され、特異性が飛躍的に向上しました。
*α3ドメインの変異導入はHuman HLA Class I Tetramerで採用されています。マウスなど他の動物種、及び、Class IIのテトラマー製品には変異は導入されていません。
<参考文献>
1) Gao GF, et al., Nature 387: 630−634 (1997)
2) Bodinier M, et al., Nat. Med. 6: 707−710 (2000)
HLA-A*02:01 CMV pp65 Tetramer試薬で、 HLA-A*02:01陽性CMV陽性患者末梢血(左)と、HLA-A*02:01陰性末梢血(右)を染色しました。HLA class I heavy chain α3ドメインに変異を入れたT-Select HLA Class I Tetramer試薬(下段)と、変異を入れていない従来のTetramer試薬(上段)で、特異性に明らかな違いがあることが分かります。 T-Select HLA class I Tetramerは、HLA class I heavy chain α3ドメインに変異を入れ、CD8分子との非特異的な結合を最小限に抑えることで、特異性が飛躍的に向上しています。
HLA-A*24:02陽性健常人末梢血よりPBMCを分離し、MLPC法にて誘導したEBV BRLF1 CTL lineを、 HLA α3ドメインに変異を入れたHLA-A*24:02 EBV BRLF1 Tetramer-PE (MBL code no. TS-M002-1)とHLA-A*24:02 Negative Tetramer-PE (MBL code no. TS-M007-1)、HLA α3ドメインに変異を入れていないHLA-A*24:02 EBV BRLF1 Tetramer-PEにて染色しました。その結果、 HLA α3ドメインに変異を入れていないTetramerでは、CD8陽性細胞に非特異的な染色が見られました。HLA α3ドメインに変異を入れたTetramerでは、非特異染色は見られませんでした。
※本データはリンパ球ゲートかつ7-AAD陰性ゲートで解析を行いました。
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