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Human class I HLA-E Tetramer




抗原特異的なNK細胞やT細胞を直接認識する際に有用です

HLA-Eアリルとその遺伝子頻度非古典的MHC class I 分子に属するHLA-E は、古典的MHC分子等と同じく、自己と非自己の認識やそれに伴う免疫応答に深く関与しています。非古典的MHC分子は、 古典的MHC分子とは異なり、多型性に乏しいことが知られており、HLA-Eの場合、日本人は主にHLA-E*01:01とHLA-E*01:03の2種類に分類されます。 HLA-EはNK細胞およびCD8+ T細胞が発現するCD94/NKG2受容体と結合して細胞の免疫応答を制御することが明らかになっています1)。また、HLA-EはCD8+ T細胞が発現するT細胞受容体(TCR)と結合し、活性化を促すことが知られています2)。 HLA-E は、黒色腫や骨肉腫などのがんにおいても発現が確認されており、腫瘍細胞がHLA-Eを介して抑制型のCD94/NKG2A受容体と結合することでNK細胞やCD8+ T細胞の免疫監視機構から逃避することが報告されていま す3), 4), 5)。また、感染症においてもHLA-Eの機能に関する報告があり2), 6), 7)、これらの疾患に伴うHLA-E のはたらきが注目されています。



HLA-E*01:03 HLA-A leader3-11 Tetramer-VMAPRTLVL-PE

HLA-E は、HLA-A、-B、-C、-G のリーダー配列(3-11 aa)と優先的に結合することが知られています1), 8)。生理的条件下では、これらのHLA class I リーダー配列と結合したHLA-EがNK細胞およびCD8+ T 細胞が発現するCD94/NKG2A受容体と結合し、抑制性のシグナルが伝達されることで、NK細胞およびCD8+ T細胞の傷害活性が抑制されます。Cytomegalovirus (CMV)は、このHLA class I リーダー配列を模倣した配列をもつタンパク質UL40を発現することで、NK細胞の免疫監視機構から逃避することが報告されています9)。一方で、 CD8+ T細胞は HLA class I leader/CMV UL40のペプチド配列と結合したHLA-Eを認識し、CMVに対する感染防御に関わっていることが報告されています2)

染色例1
HLA-E HLA-A leader3-11 TetramerおよびHLA-E Negative Tetramerの染色例

HLA-E HLA-A leader3-11 Tetramer および HLA-E Negative Tetramer の染色例健常人末梢血から分離したPBMCを用いてHLA-E*01:03 HLA-A leader3-11 Tetramer-VMAPRTLVL-PE (MBL code no. TS-ME01-1)、 およびHLA-E*01:03 Negative Tetramer-VMAPKTLVL-PE (MBL code no. TS-ME02-1) による染色を行いました。その結果、 HLA-E*01:03 HLA-A leader3-11 Tetramer ではCD8陰性、陽性ともにテトラマー陽性細胞が検出されました。
図中の数値はそれぞれの区画の全リンパ球中のテトラマー陽性細胞率(%)を示します。


染色例2
CD94抗体によるHLA-E Tetramer結合阻害

CD94 抗体によるHLA-E Tetramer 結合阻害健常人末梢血から分離したPBMCをCD94抗体(clone: DX22)と予め反応させた後に、HLA-E*01:03 HLA-A leader3-11 Tetramer-PE による染色を行いました1)。その結果、CD94抗体により、CD8 陰性、陽性の両区画で CD94/NKG2受容体を介したHLA-E Tetramer との結合が阻害されました。また、CD94 抗体を用いたHLA-E Tetramerの結合阻害時に観察されるCD8陽性テトラマー陽性細胞集団は、CD94/NKG2以外の受容体でHLA-E Tetramerと結合することが示唆されました。
右上の数値は全リンパ球中、括弧内はCD8陽性細胞中のテトラマー陽性細胞率(%)を示します。


染色例3
CD3抗体によるHLA-E Tetramer結合阻害

CD3 抗体によるHLA-E Tetramer 結合阻害健常人末梢血から分離したPBMCをCD3抗体と反応させ、細胞を洗浄後にanti-mouse IgG二次抗体と反応させました10)。その後、再度細胞を洗浄し、CD94抗体(clone: DX22)と反応させた後にHLA-E*01:03 HLA-A leader3-11 Tetramer-PEによる染色を行いました。その結果、donor AとBでCD3抗体、anti-mouse IgG二次抗体処理によりTCR/CD3複合体を介したHLA-E Tetramerとの結合が阻害されま した。
図中の数値はCD8 陽性細胞中のテトラマー陽性細胞率(%)を示します。

CD94分子とヘテロ2量体を形成するNKG2分子のタイプ

NKG2A 抑制型
NKG2B 抑制型
NKG2C 活性型

<参考文献>
1) Braud VM, et al. Nature 391: 795-799 (1998) PMID: 9486650
2) Pietra G, et al. PNAS 100: 10896-10901 (2003) PMID: 12960383
3) Monaco EL, et al. Neoplasia 13: 822-830 (2011) PMID: 21969815
4) Speiser DE, et al. J Exp Med 190: 775-782 (1999) PMID: 10499916
5) Derré L, et al. J Immunol 177: 3100-3107 (2006) PMID: 16920947
6) Heinzel AS, et al. J Exp Med 196: 1473-1481 (2002) PMID: 12461082
7) Salerno-Gonçalves R, et al. J Immunol 173: 5852-5862 (2004) PMID: 15494539
8) Miller JD, et al. J Immunol 171: 1369-1375 (2003) PMID: 12874227
9) Tomasec P, et al. Science 287: 1031-1033 (2000) PMID: 10669413
10) Weder P, et al. Results in Immunology 2: 88-96 (2012) PMID: 24371571