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【MHC Tetramer】トラブルシューティング

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  1. おすすめのプロトコールを教えてください。
    全血や単核細胞を用いたプロトコールは製品に添付されているデータシートに掲載されています。データシートはWEBサイトでもご確認いただけます。
  2. 細胞溶解バッファー、固定液は何がおすすめですか?
    市販の赤血球溶解試薬としては、OptiLyse C(Beckman Coulter, Code No. A11895)もしくはOptiLyse B(BD Biosciences, Code No. IM-1400)の使用経験があります。各々の説明書をよく読み、採血時の抗凝固剤の選択、処理方法を正しく行ってください。
    染色後の固定には0.5%パラホルムアルデヒドまたはホルマリン含有PBSで固定、そのまま保存いただけます。ただし、染色後は24時間以内に解析を行ってください。数時間以内に解析する際には固定は不要です。なお、細胞を固定した後にテトラマー染色を行うことはお勧めしません。
  3. 抗体とテトラマーを同時に反応させても良いですか?
    特にマウスMHC class IテトラマーではCD8抗体と同時に反応させることで、CD8抗体とテトラマーが干渉しあう可能性があり、非特異反応やテトラマー反応を阻害する原因となります。製品プロトコールに記載の通り、染色条件としては先にテトラマーを反応させ、その後に抗体反応を行う方がよりきれいなデータを得られると考えています。
  4. ネガティブコントロールにはどのテトラマーを使えば良いですか?
    MHC class I分子では自然界に存在しない、人工的に設計されたペプチドを搭載したテトラマーはネガティブコントロールとして使用いただけます。また、日本人ではHIV罹患者が少ないことから、日本人に最も多いアリル HLA-A*24:02アリルの製品ではHIVペプチドを搭載したテトラマーもネガティブコントロールとして使用いただけます。
    MHC class II分子は、CLIPペプチドを搭載したテトラマーをネガティブコントロールとして使用いただけます。CLIPペプチドが搭載されたMHC class II分子は、MHC class IIが細胞表面に提示される過程で形成されるものであり、CLIP特異的なT細胞は存在しないと考えられるためです。
    目的のアリルで上記のようなネガティブテトラマーが販売されていない場合、実験系とは無関係のターゲットペプチドを載せたテトラマーもコントロールとして使用いただけます。
  5. 非特異染色が多い場合、どうしたら良いですか?
    基本的なプロトコールはご紹介しておりますが、サンプルや目的によってプロトコールの最適化が必要な場合があります。
    • フローサイトメーターの設定の最適化を行う(PMTバランスやコンペンセーションなど)
    • 適切な条件で反応させる(2~8℃、30-60分を推奨しています。)
    • FS/SSのドットプロットから、目的の細胞群(リンパ球など)をゲーティング
    • 凍結細胞を使用するときは特に、7-AAD染色などで死細胞を除去
    • 抗体との共染色を行い、目的としない細胞(B、NK細胞、赤血球など)をゲートアウト
    • 目的の細胞群に共通のターゲット(CD3など)を使ってゲーティング
    • Fcレセプター阻害剤(Clear Back: Code No. MTG-001)を使用し、マクロファージなどのエンドサイトーシスによる非特異染色を抑制
  6. CD8抗体はどのクローンを使えば良いですか?
    ヒトCD8抗体ではクローンHit8aまたはSFCI21Thy2D3(“T8”)、マウスCD8抗体ではクローンKT15を推奨しています。ヒトCD8抗体の推奨クローンについては、10種類のクローンで比較検討をしています。詳しくはアプリケーションノートをご覧ください。
  7. CD8抗体がCD8陽性T細胞とテトラマーの反応に影響することはありますか?
    ヒトと一部のサルのMHC class Iのα3領域には変異が入っており、CD8分子とMHC分子の非特異的な結合を抑制しています。そのためCD8抗体による影響は少なくなっていますが、CD8抗体のクローンによってはMHCテトラマーと特異的T細胞の反応を助長したり阻害するものがあります。 弊社では、ヒトCD8抗体ではHit8aまたはSFCI21Thy2D3(“T8”)を推奨しています。マウスではクローンKT15を推奨しており、クローン53-6.7では非特異反応が見られますのでおすすめしておりません。
  8. MHC class IIテトラマーを用いた細胞染色の際、CD4抗体は何を使っても大丈夫ですか?
    MHC class I分子とCD8分子との関係と同様に、MHC class II分子とCD4分子も相互作用します。そのため、MHC class IIテトラマーもCD4抗体のクローンによってTCRとの結合が助長されたり、阻害される可能性があります(Wooldridge L et al. Eur J Immunol. 2006, 36, 1847-1855 )。クローンを選択する際は注意が必要です。
  9. マウステトラマーを使用する際、バックグラウンドを抑える方法はありますか?
    Q.5に挙げた様々な方法が考えられますが、マウスのMHCテトラマーを使用する際にはCD8抗体のクローンの選択が特に重要です。クローン53-6.7などの一部のクローンではテトラマーのみを用いたときよりもバックグラウンドが高くなってしまう傾向があるため、クローンKT15の使用を推奨しています。弊社からはFITC、PE、Alexa Fluor® 647標識品を取り扱っています。
  10. C57BL/6やBALB/cマウスにはどのアリルの製品を使用したら良いですか?
    各H-2K, H-2D, H-2L (MHC class I), I-A (MHC class II) ハプロタイプに対するマウス系統については、以下の表をご参照ください。
    H-2K allele H-2Kb H-2Kd H-2Kk
    Mouse strains C57BL/-, BXSB/Mp, 129/- BALB/c, DBA/2, B10D2, NOD C3H/He

    H-2D allele H-2Db H-2Dd H-2Dk
    Mouse strains C57BL/-, BXSB/Mp, 129/-, NOD BALB/c, DBA/2 C3H/He

    H-2L allele H-2Ld H-2Lq
    Mouse strains BALB/c, DBA/2, B10D2 DBA/1, SWR/J

    I-A allele I-Ab I-Ad I-Ak I-AS
    Mouse strains C57BL/-, BXSB/Mp, 129/- BALB/c, DBA/2 C3H/He SJL/J, B10.S
  11. テトラマー染色の際、採血管は何を使えば良いですか?
    EDTA、ヘパリンリチウム、ヘパリンナトリウム採血管のどれでもお使いいただけます。しかしながら、ヘパリンリチウムなどの抗凝固剤の中には、特定の溶血試薬との相性が悪いものがありますので、お使いになる試薬の説明書をよく読み、適切な採血管をお使いください。
  12. ビオチン標識抗体を使っても良いですか?
    MHCテトラマーと一緒に使用することはお勧めできません。特にビオチン化モノマーと一緒に使用した場合、非特異反応の原因となる可能性があります。
  13. 組織切片を染色することはできますか?
    弊社では検討中ですが、一般的にMHCテトラマーを用いて組織切片を染色している文献はいくつかあります。

    Kawabata T et al. J Med Virol 84, 1120-1127 (2012)(PMID: 22585731、MBLテトラマー使用)
    Coppieters KT et al. J Exp Med 209, 51-60 (2012) (PMID: 22213807)
    Hong JJ et al. PloS one 4, e4131 (2009) (PMID: 19122815)
    Kuon W et al. J Immunol 173, 4859-4866 (2004) (PMID: 15470026)
    Skinner PJ et al. J Immunol 165, 613-617 (2000) (PMID: 10878330)

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