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【MHC Tetramer】MHCテトラマー全般

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  1. MHCテトラマーはどんな製品ですか?
    MHCテトラマーは、ビオチン化した主要組織適合性複合体(MHC)分子と抗原ペプチドの複合体(モノマー)を蛍光標識ストレプトアビジンで4量体化(テトラマー)した試薬です(a)。MHCテトラマー製品には主にMHC class Iとclass IIの2種類があります。MHC class Iテトラマーは、CD8+ T細胞のT細胞受容体(TCR)に結合します(b)。MHC class IIテトラマーは、CD4+ T細胞のTCRに結合します。したがってMHCテトラマーと末梢血単核細胞(PBMC)または全血を混合し、フローサイトメトリーで測定することにより、抗原特異的なCD4+またはCD8+ T細胞を検出できます(b, c)。MHCテトラマー試薬により、単一のペプチド特異的な細胞性免疫応答を測定することができます。MBLのヒトおよび一部のサルのclass Iテトラマー製品にはMHC部分に変異を入れており、細胞表面のCD8へのテトラマーの非特異的結合を最小限に抑え、特異性を上げています。
  2. MHCテトラマーはどのような研究に有用ですか?
    MHCテトラマー試薬は、抗原特異的T細胞をフローサイトメトリーにより1個ずつ検出することができます。したがって、これまでサイトカインの産生や細胞傷害性活性の確認などで間接的にしか捉えることができなかった抗原特異的T細胞を直接的に検出することを可能にしただけでなく、抗原特異的T細胞の分離にも利用できるため、抗原特異的T細胞の機能やフェノタイプ等の詳細な解析を可能にしました。現在、MHCテトラマー試薬は、感染症やがんワクチン療法、細胞免疫療法、移植免疫、自己免疫疾患などの基礎研究分野あるいは臨床開発において、T細胞免疫応答のモニタリングに欠かすことのできないツールとして広く利用されています。
  3. MHCテトラマーを使った研究分野を教えてください。
    下記に示した例はほんの一部です。様々な分野で使用されており、現在も拡大しています。
    • 感染症:HIV、EBV、CMV、HPV、HBV、HCV、インフルエンザ、麻疹、マラリア、結核菌、RSV、デングウイルス、結核菌、SARS-CoV-2など
    • 癌:乳癌、前立腺癌、メラノーマ、大腸癌、肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、白血病など
    • 自己免疫疾患:糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチ、自己免疫性白斑、セリアック病など
    • 移植:EBV、CMVなど
    • 動物モデル:OVA, E alpha, SIVなど
    • がん免疫療法:ペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン、TCR療法など
  4. 細胞性免疫反応の解析をする際、MHCテトラマーを使うメリットは何ですか?
    ELISPOTなどの従来のT細胞を用いた解析方法と比較し、MHCテトラマーを使った解析方法には様々な利点があります。
    • MHCテトラマーは直接的に抗原特異的T細胞を検出することができます。
    • フローサイトメーターで解析することにより定量的に測定できます。
    • MHCテトラマーと細胞表面マーカーあるいはIFN-γのようなサイトカインなどの細胞内分子を同時に染色することができるので、抗原特異的T細胞の詳細な評価が可能です。
    • 抗原特異的T細胞を生きたままソーティングし、培養してその後の機能解析に用いることができます。
    • MHCテトラマーには異なる蛍光標識を付けることができるため、複数の抗原特異的T細胞を同時に解析できます。
  5. 実験目的に合うペプチドとアリルが分かりません。
    MHCアリルの決定方法としては、まず実験に使用するサンプルのMHCアリルを確認いただくことが最も重要です。ターゲットタンパク質は決まっているが、エピトープが分からない場合には文献などでご確認いただくことをお勧めいたします。
  6. 蛍光色素はどのようなものがありますか?
    PEとAPC標識のテトラマーを主にご提供しています。一部の製品にはFITCやBV421標識もご用意しています。ご希望の蛍光標識品がない場合にはカスタムで作製することも可能です。お問い合わせください。
  7. テトラマーはCyTOFで使用できますか?
    ユーザー様ご自身でビオチン化MHCモノマーと、金属標識されたストレプトアビジンを用いてCyTOF用の金属標識テトラマーを作製いただくことが可能です。MHCモノマーと金属標識したNeutrAvidin™を用いたCyTOF用試薬についてはMBLI社(JSRグループ)がAAIで発表したポスターをご参照ください。 https://www.mblintl.com/assets/AAI-Poster-NA-metal-MHC_2015_TC-final.pdf
  8. テトラマー濃度はどれくらいですか?
    蛍光物質によって最終的な性質が異なってしまうためテトラマーの濃度は定めておらず、製品1本あたり50テスト分としています。モノマー濃度は一部製品を除き100 µg/mLとしています。詳しくは品番とロット番号をお控えいただき、お問い合わせください。
  9. ネガティブテトラマー、コントロールテトラマーとはどのようなものですか?
    MHC class I分子では自然界に存在しない、人工的に設計されたペプチドを搭載したテトラマーはネガティブコントロールとして使用いただけます。また、日本人ではHIV罹患者が少ないことから、日本人に最も多いアリル HLA-A*24:02アリルの製品ではHIVペプチドを搭載したテトラマーもネガティブコントロールとして使用いただけます。
    MHC class II分子は、CLIPペプチドを搭載したテトラマーをネガティブコントロールとして使用いただけます。CLIPペプチドが搭載されたMHC class II分子は、MHC class IIが細胞表面に提示される過程で形成されるものであり、CLIP特異的なT細胞は存在しないと考えられるためです。
    目的のアリルで上記のようなネガティブテトラマーが販売されていない場合、実験系とは無関係のターゲットペプチドを載せたテトラマーもコントロールとして使用いただけます。
  10. α3領域の変異とはどのようなものですか?
    CD8分子は、生体内においてMHCとCTLの結合を補佐することが知られています。そのため、MHC分子にはCD8分子と結合する部位が存在します。ヒトと一部のサルのMHC class I Tetramerは、CD8分子と非特異的に結合するMHC分子のα3ドメイン内の1箇所に変異を入れています。これにより、CD8分子とテトラマー試薬の非特異的な結合が抑制され、特異性が飛躍的に向上しました。

    <参考文献>
    1) Gao GF, et al., Nature 387: 630−634 (1997)
    2) Bodinier M, et al., Nat. Med. 6: 707−710 (2000)

  11. どのようにMHC複合体を製造しているのですか?
    下記WEBページの「T-Select MHC class I Tetramer試薬の作製方法」にてご紹介しています。 https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/pickup/mhctetramer-feature.html
  12. 品質検査はどのようにしているのですか?
    MHCテトラマーの品質は分光光度計とHPLCによって測定しています。一部のテトラマーは実際の染色性についても確認しています。
  13. 染色性は確認していますか?
    染色性を確認している製品はデータシートに染色データを記載しています。各製品データシートをご覧ください。
  14. パラホルムアルデヒドとホルムアルデヒドの違いは何ですか?
    パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒドの一種です。ホルムアルデヒドの化学式はCH2Oです。パラホルムアルデヒドはホルムアルデヒドが脱水重合したもので、固体です。これを水に溶かして水溶液にするとホルムアルデヒドとなります。ホルムアルデヒド水溶液のみ、組織を固定することができます。
    パラホルムアルデヒドを溶解するときは、安全キャビネットで行ってください。70℃のPBSやTBSにパラホルムアルデヒドを溶かします。5N NaOHを加えて溶液が透明になるまで溶解してください。溶け残りは遠心やフィルター濾過などで除いてください。用事調整いただくのがベストですが、保存する場合には-20℃で保存し、数か月は使用可能です。
  15. ビオチン標識抗体やストレプトアビジン標識抗体と同時に使用しても良いですか?
    MHCテトラマーと一緒に使用することはお勧めできません。特にビオチン化モノマーと一緒に使用した場合、非特異反応の原因となる可能性があります。


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