抗体工学的サービス(抗体の最適化)
医薬品としての開発においては、抗原との結合活性の向上や、ヒトに投与するという観点で免疫原性の低減が必要となってきます。当社では抗体ヒト化、アフィニティーマチュレーションをご提供しています。また、二重特異性抗体やscFvといった多様なモダリティの抗体作製も実施しております。
抗体のヒト化
お客様が開発中の抗体、あるいは当社取得の抗体に対して、配列解析を行い、医薬品開発に向けた抗体のヒト化を行います。シミュレーションソフトによるモデリングを行い、相同性の高いヒトのフレーム配列を選び出し、CDR graftingによりヒト化抗体を設計します。活性評価を行い、活性の向上が必要な場合は再設計することも可能です。
ケーススタディ
CDR grafting実施ヒト化抗体とマウス抗体の親和性比較
Antibody | KD (M) | kon(1/Ms) | kdis(1/s) |
---|---|---|---|
Hybridoma Ab | 4.34E-10 | 2.95E+05 | 1.28E-04 |
Humanized Ab (frame1) |
5.24E-11 | 2.19E+05 | 1.15E-05 |
Humanized Ab (frame2) |
4.02E-10 | 1.82E+05 | 7.30E-05 |
・作製したヒト化抗体はヒト化前のマウス抗体と同等の親和性を示した。
Backmutationを導入したヒト化抗体とキメラ抗体の活性比較(Flow Cytometry)
![Conc. [ug/mL]](/drug_discovery_service/antibody/technology/engineering/images/img-1.png)
・反応性の低下したヒト化抗体にBackmutationを導入することで、
ヒト化前のキメラ抗体と同等の反応性を示した。
ファージディスプレイ法を使用した抗体の親和性向上
~アフィニティーマチュレーション~
機能抗体を取得できたにもかかわらず、その親和性が低いために目的のアプリケーションには適用できない場合があります。そのような場合、抗体の性質(抗原結合部位および機能)を大きく変えることなく親和性を向上させる技術の使用が有効です。また、抗体医薬や体内診断薬分野においてマウス抗体のヒト化が行われていますが、ヒト化することにより抗体の親和性が低下する場合があります。このような場合にも本技術の使用が有効です。

- 技術基盤
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- Error-Prone PCR
- VH と VL へランダムに point mutation を導入する方法を確立
- 親和性が向上したクローンの選択 (screening)
- 多様な抗原(GPCR や糖鎖など)に対応可能な独自の screening 法
独自のシミュレーション法による screening 条件(抗原濃度や抗体濃度、反応時間など)の決定
ケーススタディ
当社のヒト抗体ライブラリーから単離した抗EGFR抗体(scFv)はKD=2.5×10-10と高親和性でしたが、アフィニティーマチュレーション実施後、さらに親和性が20倍以上向上したクローンを複数取得することができました。
7回膜貫通型タンパク質であるGPCRや糖鎖に対する抗体の親和性の向上にも成功しています。糖鎖抗体の親和性向上の一例では、非常に低い親和性の抗体(KD=6.7×10-5)をKD=1.4×10-7へと500倍以上の親和性向上に成功しています。

- 応用例
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- 検出用抗体の親和性を向上させることで、検出感度を高める
- 非ヒト由来抗体をヒト型化した際に低下した親和性を回復させる
- 親和性を向上させることで、抗体が有する生理機能(阻害活性など)を高める