オートファジーが細胞内のどこで誘導されるかは不明ですが、酵母においてはAtgタンパク質が集中して集まる前オートファゴソーム構造体 (pre-autophagosomal structure: PAS) がその形成開始部位と考えられています。
ATG9遺伝子を欠損した出芽酵母では多くのAtgタンパク質がPAS局在を失うことから、Atg9はPAS形成の初期に何らかの機能をしていると考えられています。PAS上のAtg9にはAtg2とAtg18の複合体が結合しています。Atg18はホスホイノシチド3-リン酸(PI3P)と結合することが知られていますが、この複合体の機能は現在までのところ不明です。ATG18とATG2に変異をもつ酵母ではPASにAtg9が高度に蓄積することが示されています。一方、オートファゴソーム上にはAtg9は局在しないことから、PASからAtg9が離脱する仕組みが存在しているはずです。Atg2-Atg18複合体がその過程に関与しているのかもしれません。