ヒト腸オルガノイド培養方法

2.ヒト腸オルガノイドの継代(酵素分散法)

手順  
①<方法 1. ヒト腸オルガノイドの樹立>の培養7-10日目のウェルから培地を除去する。
②500 µLのTrypLE™ Express Enzyme(Thermo Fisher Scientific)をウェルに添加して、チップの先でゲルを崩す。

※TrypLE™はThermo Fisher Scientificの登録商標です。
③15 mLの低吸着チューブに②全量を回収する。
④15 mLチューブを湯浴で37°C、5~10分処理し、ピペッティング(20-30回程度)で細胞を分散させる。 15mLチューブを湯浴で処理
⑤オルガノイドの分散程度を顕微鏡で確認し、反応時間を延長もしくはさらにピペッティングするか判断する。 分散後のオルガノイドの写真
⑥Basal mediumを9 mL添加する。
⑦遠心(400 g × 3分、室温)する。
⑧上清を除去する(細胞がペレットとなっていることを確認してから行う)。
⑨遠心(400 g × 3分、室温)する。
⑩残った培地をピペットマンで除去する(細胞を吸ってないことを確認する)。
⑪300-500 µLのBasal mediumを加えて懸濁する。
⑫一部を採取し、同量のTrypan Blue Solutionと混和して細胞を染色し、生細胞数をカウントする。 生細胞と死細胞の写真
⑬48-well plateの1ウェルに1,000 cells播種するため、播種するウェル分の細胞を⑪から1.5 mLチューブに採取し、氷上におく。
⑭⑬の細胞懸濁液にMatrigel®を加えて細胞密度を50,000 cells/mL(1,000 cells/20 µL)に調製する。
(Matrigel®が70%以下に希釈される場合は、⑪の細胞懸濁液を遠心して、⑩から再度細胞調製を行う。)

※Matrigel®はCORNING Incorporatedの登録商標です。
<方法 1. ヒト腸オルガノイドの樹立>の手順⑩の動画をご覧ください。
⑮48-well plateに20 µLずつ播種してドームをつくる。 <方法 1. ヒト腸オルガノイドの樹立>の手順⑪の動画をご覧ください。
⑯37°Cインキュベーターで10~15分ほど加温してゲル化させる。 インキュベータにて加温してゲル化
⑰250 µL/ウェルのOrganoid Growth Mediumを添加してインキュベーターで培養(Matrigel®が崩れないように壁を伝わせるようにゆっくり添加する)。 <方法 1. ヒト腸オルガノイドの樹立>の手順⑬の動画をご覧ください。
⑱2-3日毎にOrganoid Growth Mediumにて培地交換を行う。 <方法 1. ヒト腸オルガノイドの樹立>の手順⑭の動画をご覧ください。
※細胞を均一に播種する場合
⑤の操作後にセルストレーナー(メッシュサイズ:20 µm)を15 mLチューブにセットし、細胞懸濁液を通す。その後、⑥の操作から行う。
セルストレーナー

ヒト腸オルガノイドの継代培養例

下図は、継代翌日、継代3日目、継代6日目、継代7日目の顕微鏡画像(対物レンズ10倍、Scale bar, 100 µm)

培養

その他の培養工程