Recombinant Human R-spondin 1
特長
- 大腸菌由来の組換えタンパク質
- 生物活性ドメインで構成
- Wntシグナルを活性化

R-spondin 1の役割
R-spondin 1(roof plate-specific spondin 1)はCristin 3としても知られ、古典的なWnt/β-cateninシグナル伝達の活性化を制御するR-spondinファミリーの1つです。1)
古典的Wnt/β-cateninシグナル経路では、Wntが細胞表面受容体であるFz*1およびLRP5/6*2に結合すると、細胞内にβ-cateninが蓄積し、β-catenin経路が活性化されます。2,3)
しかしながら、R-spondin非存在下では、FzがユビキチンリガーゼRNF43*3/ZNRF3*4と結合し、ユビキチン化を受けてエンドサイトーシスされ、細胞膜上のFzが減少します。その結果、Wnt/β-cateninシグナルは十分に活性化されません。
一方で、R-spondin存在下では、RNF43/ZNRF3はLGRs*5およびR-spondinと三量体を形成し、エンドサイトーシスされ、Fzをユビキチン化できなくなります。その結果、細胞膜上のFzが増加し、Wnt/β-cateninシグナルは強く活性化されます。4)
オルガノイド培養には通常、幹細胞の分化を制御するWnt、Notch、EGFおよびBMPシグナルに作用するニッチ因子が利用されます。これらのシグナルのうち、R-spondin 1は前述の通りWnt/β-cateninシグナルの活性化に寄与します。
*1 Frizzled、*2 low-density-lipoprotein receptor-related protein 5/6、*3 ring finger protein 43、*4 zinc and ring finger 3、*5 leucine-rich repeat-containing G-protein coupled receptors
製品概要
Recombinant Human R-spondin 1 [J2-004]は、ヒトR-spondin 1(21-146 aa)遺伝子を大腸菌で発現させた組換えタンパク質で、生物活性をもつ2つのcysteine-rich furin-likeドメイン(Fu1およびFu2)から構成されます(模式図右)。Fu1はZNRF3とRNF43の細胞外ドメインに結合し、Fu2はLGR4/5/6の細胞外ドメインに結合します。4)

製品使用例
ヒト小腸オルガノイドの培養
ヒト小腸オルガノイドをRecombinant Human R-spondin 1 [J2-004]存在下で培養しました。
10~1000 ng/mLの濃度条件で培養したところ、いずれの濃度でもヒト小腸オルガノイドを培養できることが確認できました。
製品仕様
Code No. | 製品名 | Source | Accession No. | 形状 | 包装 |
---|---|---|---|---|---|
J2-004 | Recombinant Human R-spondin 1 | 21-146 aa | Q2MKA7 | 凍結乾燥品 | 50 µg |
バルク対応が可能です。お気軽にご相談ください。
本製品の使用に際して
オルガノイド等の培養において、本製品を他の因子との組合せで使用する場合、当該他の因子の使用等に第三者の特許が存在する可能性がございます。本製品は、他の因子との組合せによる使用等まで保証するものではございませんので、当該他の因子との組合せで使用する場合に関しては、ご所属の知財部・調査機関へご確認のうえ、本製品をご利用ください。
カタログ情報

- Recombinant Human R-spondin 1パンフレット
A4版パンフレット