資料提供:
独立行政法人 科学技術振興機構 ERATO 宮脇生命時空間情報プロジェクト
独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 細胞機能探索技術開発チーム
阪上-沢野 朝子 先生, 宮脇 敦史 先生
■本製品のご紹介に使用した提供資料は、参考文献1. Sakaue-Sawano, A., et al., Cell 132, 487-498 (2008) [PMID: 18267078]で樹立された細胞株を使用したものであり、本製品をそのまま使用した結果ではございません。詳細につきましては参考文献1.をご参考ください。
■Fucci G1 OrangeならびにFucci S/G2/M Green の安定発現細胞株を樹立する場合、それぞれを異なる薬剤耐性遺伝子を持つ発現ベクターで導入することにより、より効率的に樹立することができます。
詳細なプロトコールは、以下のPDFファイルをダウンロードしてご参照ください。
PDF版: 96KB
Fucci (Fluorescent Ubiqutination-based Cell Cycle Indicator: フーチ) は、生細胞の細胞周期の進行を“リアルタイム”に観察することが出来る蛍光プローブです。Fucciは、細胞周期の特定の時期にのみ存在するGemininとCdt1という2つのタンパク質に、それぞれ緑色 (monomeric Azami-Green1: mAG1)とオレンジ色 (monomeric Kusabira-Orange2: mKO2)の蛍光タンパク質を融合して細胞周期を可視化できるようにしたプローブです。これらを細胞に導入すると、S/G2/M期に緑色、G1期にオレンジ色の蛍光が核に観察されます。
GemininはS/G2/M期に増加し、G1期には存在しません。一方Cdt1はG1期に増加し、S/G2/M期には存在しません。このような細胞周期依存的なタンパク質の調節は、ユビキチンープロテアソーム系と呼ばれる選択的なタンパク質分解反応により厳密に制御されています。このシステムを利用したのがFucciです。Fucciでは、Gemininの細胞周期依存的分解に関わる領域、アミノ酸1番から110番までを、同様にCdt1の分解に関わる領域、アミノ酸30番から120番までを、蛍光タンパク質と融合しています。
Fucciは、細胞周期を可視化するためのツールであり、個体の発生、分化、再生、がん化など、細胞周期と関連する生命現象を解明するのに有効です。
[用語説明]
Cdt1: Cdc10 dependent transcript 1. DNA複製のライセンス化制御因子。G1期に複製開始点に局在し、一度複製されたDNAが再複製されないように制御している。G1期に発現量が高いが、S期に入るとユビキチンープロテアソーム系により分解される。
Geminin: DNA複製のライセンス化阻害因子。S期に、一度複製が開始されたゲノムの複製開始地点へのライセンス化因子の結合を阻害する。M期からG1期にかけて、ユビキチンープロテアソーム系により分解される。
励起最大波長/蛍光最大波長 | モル吸光係数 (M-1cm-1) | 量子収率 | pH感受性 | |
---|---|---|---|---|
mAG1 | 492/505
|
55,500 (492 nm)
|
0.74 | pKa=5.8 |
mKO2 | 551/565
|
63,800 (551 nm)
|
0.62 | pKa=5.5 |
※本製品は、独立行政法人理化学研究所及び財団法人東京都医学研究機構の発明の実施許諾を受けています。
※CoralHue™ 蛍光タンパクシリーズは独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 細胞機能探索技術開発チーム(宮脇敦史チームリーダー)との共同研究で開発されたものであり、MBLが実施権を有し販売しております。
※記載されている価格は、非営利団体のお客様向けです。営利団体に所属されるお客様につきまして別途契約が必要となりますのでお問い合せください。
基礎試薬グループ TEL: 03-6854-3614 お問い合わせフォームへ