RIP-Chip技術はRNA結合蛋白質(RNA Binding Protein; RBP)に結合している機能的に関連したmRNAやその他のRNAを同定するための技術です。MBLはRIP-Chipのために最適化されたキット(RIP-Assay Kit)と、RIP-Chipで使えることが実証された、様々なRBPに対する抗体(RIP-Certified Antibody)を開発いたしました。RBPは様々なmRNAやノンコーディング抑制RNAの発現制御をコーディネートするための重要なファクターです。RIP-Assay Kitを使えば効率的に、病気の発症や生物の発生過程で機能的に関連している遺伝子を同定することができます。RIP-Chip法は、これまでに広く使われているChIP-Chip法と似た原理で、RBPに特異的な抗体によって細胞抽出物からリボヌクレオ蛋白質(Ribonucleoprotein; RNP)を免疫沈降します。続いてRNPから精製したmRNAをマイクロアレイで発現解析します。マイクロアレイは既知のシークエンス由来のプローブとmRNAサンプルをハイブリダイズさせることによってmRNAのシークエンスを同定しますが、直接シークエンスすることによっても(RIP-Seq法)、RBPのターゲットとなっているmRNAを同定することができます。
RIP-Chip法またはRIP-Seq法は、治療医薬のターゲットになり得るような、細胞内情報伝達系路で機能する新しい分子を見つけ出したり、また、医薬品が細胞の転写後遺伝子発現制御に与える影響を調べるために使われています。これらの方法は様々な細胞システムや動物モデルにも応用していただくことができます。
細胞: Jurkat
細胞数: 6 x 106 cells/sample
抗体: Normal Rabbit IgG
Anti-PTBP1 (Human) pAb (RN011P)
抗体使用量: 15 µg
1. 免疫沈降後のビーズにRNPが結合していることをWBで確認しました。
2. 分離されたRNA量を確認しました(NanoDrop)。
3. 分離されたRNAを解析しました(Bioanalyzer)。
4. 分離されたRNAをRT-PCRにより同定しました。
Jurkat細胞内でPTBP1に結合しているRNAをRIP-Assay Kitで分離した後、遺伝子特異的プライマーを使ってRT-PCRで同定しました。コントロールのNormal Rabbit IgGでは検出されなかったのに対し、Anti-PTBP1 Antibodyで免疫沈降したサンプルでは、CD40LGが有意に検出されました。CD40LGは、文献ですでにPTBP1のターゲットRNAであることが知られています。このことから、RIP-Assay KitはRNP複合体中のターゲットmRNAのプロファイリングに有用であることが示されました。
◎ miRNAも同時に抽出可能なRIP-Assay Kit for microRNA はこちらから