IL-33はIL-1αと同様に通常は核に存在します。核内因子としての機能は定かではありませんが、in vitroの検討実験でヌクレオソームの表面に結合して転写を抑制する事が知られています。IL-33はネクローシスに伴って全長のまま細胞外へ放出され、IL-33の受容体を発現する免疫細胞を活性化します。炎症部位においては好中球などが放出するプロテアーゼによって限定分解を受け、さらに活性が上昇することも報告されています。一方、アポトーシスの場合は活性化されたCaspase-3やCaspase-7によってIL-33は切断されるため、その炎症誘導能は無くなります。
ヒトにおけるIL-33の発現は、内皮細胞、上皮細胞や脂肪細胞、胃・肺・皮膚・リンパ節・腎臓など様々な組織や細胞において確認されています。マウスでは特に脳や脊髄に多く発現する事が報告されています。細胞外に放出された全長型のIL-33は様々な白血球に作用し、主にTh2型のサイトカイン産生を誘導し1)、主に寄生虫感染に対する防御機構に関与しています。2010年、慶應義塾大学のMoro、Koyasuらによって、IL-33の作用によりTh2型サイトカインを大量に分泌するNH細胞 (natural helper cell) がマウスの内臓脂肪組織内に存在することが発見されました。寄生虫感染防御の一端が解明されたとして話題になりました2)。
また、IL-33は寄生虫防御だけでなく、喘息・鼻炎・副鼻腔炎などのアレルギー性疾患、関節炎・糖尿病・炎症性腸疾患・SLEの発症、さらにはアルツハイマー病や心疾患の発症にも関与していることから、様々な疾患に幅広く関与していると考えられます3)。
ST2は37.1 kDa(糖鎖附加で57 kDa)の可溶性、分泌型タンパク質で、ST2Lは61.5 kDa(糖鎖附加で80 kDa)の細胞膜貫通型タンパク質です。ST2Lタンパク質はインターロイキン1受容体(IL-1R)タイプI、IIに高い相同性を有することから、IL-1Rファミリーに分類されます。
これらST2タンパク質は、線維芽細胞や様々な分化段階の血球細胞、健常人の末梢血単核球集団、グリア芽細胞腫株、星状細胞腫株、結腸癌細胞など、多様なヒト細胞で発現していることが報告されています。ST2Lタンパク質に結合するリガンド分子としてIL-33が報告されています。