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S100タンパク質ファミリー



S100タンパク質ファミリー

S100タンパク質は、細胞種特異的に発現し、2つのEF-handを持つカルシウム結合タンパク質であり、現在までに 20種類のファミリーが確認されています。細胞内シグナル伝達だけでなく、細胞外に分泌され機能することも知られています。S100タンパク質ファミリーの機能は、複雑で多岐に渡っていると考えられており、未解明の部分が多く残されています。近年、糖化タンパク質AGEの受容体であるRAGEの新規リガンドとしてS100タンパク質が報告されています。
CircuLex S100 Protein Detection Kitシリーズは、血清、細胞培養液などのサンプル中のS100タンパク質ファミリーを高感度に測定できる試薬です。

S100タンパク質ファミリー



S100A4 ELISA Kit

S100タンパク質の1種であるS100A4の発現亢進は、げっ歯動物モデルとヒト癌検体で観察され、乳癌細胞や他の癌細胞の転移過程に密接に関連していることが報告されています。S100A4タンパク質は、非転移性より転移性のラットおよびマウス癌細胞株において、良性より悪性のヒト乳癌細胞でより高い発現がみられます。良性ラット乳癌細胞中にラットまたはヒトS100A4のレベルを亢進させると、肺転移を引き起こすことが報告されています。結腸直腸腺癌の標本では、免疫組織染色で判定されるS100A4の亢進は原発腫瘍のもっとも悪性化した部位と一致し、また肝臓転移に関連しています。

CircuLex S100A4 ELISA Kit



S100A6 ELISA Kit

S100A6 (Calcyclin)は分子量およそ10.5 kDaの小分子量の酸性タンパク質で、主に線維芽細胞や上皮細胞において強く発現しています。骨芽細胞、ニューロン、星状細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、血小板およびリンパ球でも発現が認められています。
S100A6の機能は不明ですが、細胞周期の調節、エキソサイトーシス、および熱ショックタンパク質と細胞骨格のダイナミックスの調節に関与することが示唆されています。骨芽細胞では骨分化に従い発現が顕著に増加します。また、S100A6は、高い転移活性を持つ複数の腫瘍細胞、例えば、黒色腫で過剰発現しており、腫瘍形成に何らかの影響を持つことが疑われます。更に、アルツハイマー病患者や筋萎縮性側索硬化症患者においてもS100A6の過剰発現が観察されており、これら疾患にも関与している可能性があります。

CircuLex S100A6 ELISA Kit



S100A7/Psoriasin ELISA Kit

psoriasin/S100A7は、乾癬の皮膚に過剰発現する分泌タンパク質として同定されました。正常なヒト表皮ではケラチノサイトの細胞質に分布し、最終分化したケラチノサイトの細胞周辺部に存在していると報告されています。乾癬以外にも、アトピー性皮膚炎等多くの上皮の炎症性疾患においてもその過剰発現が観察されています。S100A7は走化性因子やサイトカインとして機能し、CD4+リンパ球と好中球を引き付けることが観察されています。S100A7の発現は、扁平上皮癌などの浸潤性皮膚癌において増加しますが、基底細胞癌では増加しません。さらにS100A7は、皮膚の炎症性疾患や癌ばかりでなく、アルツハイマー型認知症患者の脳脊髄液と血清においてもその濃度が上昇しているとの報告もなされており、非常に有用なバイオマーカーとして注目されています。

CircuLex S100A7/Psoriasin ELISA Kit



S100A8 ELISA Kit

S100A8(MRP8、Calgranulin A)はS100ファミリーのメンバーです。通常、S100A9(MRP14、Calgranulin B)と共発現します。S100A8/A9複合体(Calprotectin)は、炎症時、体液に蓄積して、関節リウマチ(RA)、嚢胞性繊維症、クローン病、潰瘍性大腸炎、アレルギー性皮膚炎、感染などヒトの慢性炎症性疾患の発症に関与すると考えられています。S100A8 と S100A9 はリウマチ滑膜の内層中のマクロファージにおいて発現しています。S100A8 と S100A9 は好中球の細胞質タンパク質の~40% を占めます。これらの細胞内発現はカルシウムの感受性、骨髄細胞分化、および様々な炎症の発生過程に関連しています。特に好中球の活性化とアラキドン酸輸送に関与しています。

CircuLex S100A8/MRP8 ELISA Kit



S100A9 ELISA Kit

S100A9/MRP14 タンパク質と S100A8/MRP8 は低分子量カルシウム結合性 S100 タンパク質に属しています。これらは 2つの異なったヘリックス-ループ-へリックス・モティーフ (EF-hand) から構成されており、その両方のN末端側には疎水部位が並んでいて、中央ヒンジ領域によって切り離されています。ヒト S100A9/MRP14 は、通常 S100A8/MRP8 とともに発現しています。両方のタンパク質は骨髄の分化する間に発現しており、顆粒白血球と単球に豊富に存在し、ヘテロ二量体を形成します。S100A8/A9 ヘテロ二量体は抗菌活性を含む、いくつかの機能が提案されていますが、細胞代謝におけるこれら 2 つのタンパク質の正確な役割はいまだに不明です。ヒトにおいて、これらのタンパク質は種々の炎症性疾患に関連しています。S100A9 を発現している食細胞は、初期に浸潤する細胞に属していて、急性炎症部位を占拠します。さらに、細胞性動脈炎、嚢胞性線維症、慢性関節リウマチ、皮膚病、慢性炎症性腸疾患、慢性気管支炎、いくつかの悪性腫瘍と自己免疫病気を含む数多くの炎症性疾患患者において、S100A8 と S100A9 血清レベルが亢進することが明らかにされています。これら 2 つのタンパク質は主に細胞質に局所しています。細胞内カルシウム濃度が増加することによって、細胞骨格と細胞膜への移動します。さらにヒト単球において、両方のタンパク質が微小管ネットワークに依存する、プロテインキナーゼCを必要とするエネルギー消費経路により、分泌されることが証明されました。

CircuLex S100A9/MRP14 ELISA Kit   [使用文献]



Calprotectin ELISA Kit

カルプロテクチン(calprotectin)はS100 タンパク質ファミリーに属するS100A8とS100A9のヘテロ二量体のタンパク質で、好中球やマクロファージなどの貪食細胞から産生されます。炎症時には上皮細胞からも発現し、組織に対する保護作用があるといわれています。カルプロテクチンはクローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患患者の糞便中に放出され、過敏性腸症候群(IBS) と区別可能 なバイオマーカーとして注目されています。また、関節リウマチの疾患活動性と相関していることが知られています。さらに腎障害においては尿にも検出されることから、カルプロテクチンの量はさまざまな炎症性疾患の炎症状態を反映しているとされています。

CircuLex Human Calprotectin ELISA Kit  



S100A10 ELISA Kit

S100A10は、11 kDaの2つのサブユニットから構成されたホモ2量体として細胞質に存在します。このホモ2量体は、カルシウム非依存的にAnnexin A2 と結合しヘテロ4量体 (S100A10)2(annexin A2)2である「AIIt」を形成します。ヘテロ4量体AIItは細胞膜へ移動し、細胞質膜イオン・チャネルと細胞質ホスホリパーゼA2を制御することが報告されています。
S100A10は細胞外にも存在し、プラスミノーゲン受容体として機能することが分かっています。S100A10は、その最C末端に存在する連続した2つのリジン残基を介して、組織プラスミノーゲン活性化因子 (tPA) とプラスミノーゲンに結合することにより、tPAに依存したプラスミノーゲンの活性化を制御します。また、S100A10はほとんどの細胞や組織で発現していますが、調べられたすべての甲状腺未分化癌でS100A10とAnnexin A2の両者が高発現していることが観察され、悪性度と相関することが分かっています。

CircuLex S100A10 ELISA Kit



S100A11 ELISA Kit

S100A11は培養表皮ケラチノサイトにおいて、静止細胞の細胞質に局在し、カルシウム添加に伴い細胞辺縁部に移動します。この移動には無傷な微小管を必要とします。S100A11はannexin A1と結合し、二つのS100A11と二つのannexin A1タンパク質から成るヘテロテトラマーを形成します。S100A11はカルシウムの結合によって疎水性の表面を露出するように構造変化を起こし、疎水性の表面を露出することにより、標的タンパク質との相互作用が可能になります。また、S100A11は、カルシウム依存的にannexin A6と結合することも報告されています。

CircuLex S100A11 ELISA Kit



S100A12/EN-RAGE ELISA Kit Ver.2

s100タンパク質とRAGEキット改良により、さらに高感度になりました !
改良前 56 pg/mL ⇒ 改良後 8.2 pg/mL
S100A12は、終末糖化産物Advanced glycation end products (AGEs) の受容体であるRAGEの新規リガンドとして報告されたEN-RAGE (Extracellular newly identified RAGE-binding protein)と同一タンパク質です。S100A12/EN-RAGEは好中球で発現し、慢性的な炎症状態では浸潤している単核細胞と顆粒球に豊富に存在します。S100A12/EN-RAGEは、RAGEを介し血管平滑筋細胞のNF-κBを活性化し、増殖促進や単球の遊走能を亢進させることが報告され、細小血管および大血管の障害への関与が注目されています。

CircuLex S100A12/EN-RAGE ELISA Kit ver.2    



S100A13 ELISA Kit

S100A13は、肥満細胞の脱顆粒を抑制する作用を持つ二つの抗アレルギー治療薬、AmlexanoxおよびCromolynの標的の1つで、このタンパク質は、エクソサイトーシスに関連した機能があると考えられます。最近、S100A13は線維芽細胞増殖因子1 (FGF-1)-p40 シナプトタグミン-1 (p40Syn-1) 複合体と結合することが明らかにされました。Amlexanoxはこの複合体からのS100A13の解離を抑制することが示されました。これらの発見は、S100A13が熱ショックに応答したFGF-1とp40Syn-1解離の制御に関与していることを示唆しています。別の可能性としてS100A13がFGF-1/p40Syn-1複合体と共に分泌されることが考えられています。

CircuLex S100A13 ELISA Kit



S100A14 ELISA Kit

S100A14は、ヒト肺癌細胞のサブトラクトcDNAライブラリの分析により、Pietas等によって同定されました。2個のEF-hand カルシウム結合ドメイン、ミリストイル化モチーフ、糖鎖付加部位、およびリン酸化酵素による数ヶ所の潜在的リン酸化部位を持つ104アミノ酸からなるタンパク質をコードしています。S100A14のmRNAは上皮細胞由来の正常なヒト組織においてユビキタスに発現しています。様々な組織由来の不死化した細胞や癌細胞株において、S100A14の転写が低下していることが示されています。 対照的に、肺癌と乳癌を含むヒトの原発性の腫瘍を用いた研究により、S100A14はmRNAとタンパク質レベルで顕著に増加していることが明らかにされました。S100A14は各腫瘍においてそれぞれ異なった発現を示し、卵巣癌、乳癌、および子宮癌においては過剰発現し、腎臓癌、直腸癌、および大腸癌においては発現が減少します。このことは、各種細胞の悪性化において、異なった機能の制御が行われていることを示しています。

CircuLex S100A14 ELISA Kit



S100P ELISA Kit

S100Pは、胎盤由来のタンパク質で、乳癌を含む様々な癌細胞株で顕著な発現が認められます。S100Pは、RAGEを介しErksやNF-κBを活性化し、細胞の不死化へ関与することが示されています。

CircuLex S100P ELISA Kit



S100タンパク質ファミリー関連試薬