FGF-10(Fibroblast Growth Factor 10;線維芽細胞増殖因子10) は、間葉細胞、神経細胞、上皮細胞など、さまざまな胚、成体細胞、組織に作用しています。
FGF-10は間葉系細胞から分泌され、FGF受容体2b(Fgfr2b)と相互作用します。1 また、FGF受容体1bと弱く相互作用することも示されています。2
FGF-10の成熟型は、N末端付近にセリンに富む領域を有し、FGF-7と配列相同性が高い約20 kDaのタンパク質です。3
さらに、FGF-10は、白色脂肪組織、心臓、肝臓、脳、腎臓、胸腺、内耳、舌、気管、眼、前立腺、唾液腺および乳腺の発生に関与しています。加えて、FGF-10が膵癌細胞の遊走および浸潤を誘発すること、乳癌リスクと関連すること、ならびにFGF-10ハプロ不全患者が慢性閉塞性肺疾患の症状を呈すること、また、胚性幹細胞を腸様構造体、心筋細胞および肝細胞へ分化させることも報告されています。1
■ 試験データ
■ 細胞培養使用例
・FGF-10によるヒト初代ケラチノサイトの細胞増殖アッセイ
■ オルガノイド培養使用例
・ユーザー使用例:患者由来胃オルガノイド培養(データ提供:Dr. Dylan Liabeuf)
■ 製品リスト
■ Qkine社について
■ 参考文献
SDS-PAGE(w/v 15%, [還元、非還元]) |
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ヒトFGF-10をSDS-PAGEを使用して分離し、CBBで染色しました。FGF-10は、非還元条件(NR)ならびに還元条件(R)いずれにおいても17 kDaの単一バンドとして確認されました。 汚染タンパク質に由来するバンドは検出されませんでした。(lot #010) |
ヒト初代培養表皮ケラチノサイトに対するFGF-10(0~100 ng/mL)の効果を評価するため、無血清のケラチノサイト培地で細胞増殖アッセイを実施しました。
図1a:培養0 日(ベースライン)および1、2、3、4日に生細胞数を確認する実験の概略
図1b:培養1、2、3、4日目の細胞増殖(相対蛍光単位[RFU])を示し、0日目の読み取り値に対して正規化(n=3;対照に対してP*<0.05)
図1c:FGF-10で4日間培養後の細胞増殖率の対数濃度プロット。未処理コントロール (%) および0日目 (ベースライン) に対して正規化(n=3; P*<0.05)
図1d:培養0日~4日のFGF-10各濃度添加条件における細胞の明視野顕微鏡画像
結果:ヒト初代培養ケラチノサイトにおいて、FGF-10添加濃度 10 ng/mLまでは添加濃度依存的に細胞増殖率が上昇し、100 ng/mL添加時では細胞数/生存率が減少しました。
実験は英国ケンブリッジにあるStemnovate Ltd.によって実施されました。
<ユーザーコメント>
hFGF-10を含む成長因子カクテルを用いることで、患者由来胃オルガノイドを樹立、維持できました。
高純度のサイトカインでかつ、他社製品よりも品質と価格のバランスが優れています。
Code | Product | species reactivity | 25 µg | 50 µg | 100 µg | 500 µg | 1000 µg |
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QK003 | human FGF-10 | human/rat/bovine/porcine | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
Qkine社は、2016年にケンブリッジ大学のMarko Hyvönen博士の研究室から独立し設立されました。
Marko Hyvönen博士の研究室で開発された独自の製造プロセスとタンパク質工学技術を組み合わせて、生物活性を有する高純度のアニマルフリーのリコンビナントタンパク質を製造しています。
Qkine社は、動物由来成分フリー(ADCF)ラボで製造し、非常に厳格で堅牢な品質管理基準に合格したリコンビナントタンパク質製品を提供することにより、幹細胞、細胞小器官、再生医療分野の研究開発をサポートしています。