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Qkine社のhuman R-spondin 1(QK006)



Qkine社のhuman R-spondin 1(QK006)

Human R-spondin 1タンパク質(以下、R-spondin 1)は、Wnt シグナル伝達経路の活性化因子です。ロイシンリッチリピートを含むGタンパク質共役型受容体(LGR)4-6のリガンドであり、成体幹細胞由来のオルガノイド培養、腸オルガノイド培養、造血幹細胞における特性維持や、iPS細胞由来のオルガノイド培養などに広く使用されています。


Qkine社のhuman R-spondin 1(QK006)の特徴

  • 独自の大腸菌発現システムにより製造
  • 生物活性ドメインを有する13kDaの高純度リコンビナントタンパク質
  • キャリアタンパク質フリー、動物由来フリー(AOF)
  • 非グリコシル化タンパク質のため、ロット間差が低減
  • オルガノイド培養等において、R-spondin 1 CM(Conditioned Medium)の代替品として使用可能

目次

試験データ
オルガノイド培養使用例
 ・膵臓オルガノイド培養におけるR-spondin 1 CMからRecombinant R-spondin 1(QK006)への置き換え
幹細胞培養使用例
 ・尿由来幹細胞における未分化状態の維持
製品リスト
関連製品


試験データ

定量的ルシフェラーゼレポーターアッセイ SDS-PAGE(w/v 15%, [還元、非還元])
R-spondin 1はLGR4-6と結合し、Wnt/βカテニンシグナル活性を増強します。HEK293T細胞を用いたWntシグナルのルシフェラーゼレポーターアッセイ(TOP flash)でR-spondin 1*の生物活性を評価したところ、EC50は72.4 ng/mL(5.8 nM)でした(lot #104277)。 R-spondin 1*を、SDS-PAGEを使用して分離し、CBBで染色しました。 R-spondin 1*は、非還元条件(NR)では16 kDa、還元条件(R)では13 kDaの位置に単一バンドとして確認されました(lot #010)。

オルガノイド培養使用例

膵臓オルガノイド培養におけるR-spondin 1 CMからRecombinant R-spondin 1(QK006)への置き換え

膵管腺癌(PDAC)オルガノイドおよびヒト正常膵臓オルガノイドは、Wnt3aおよびR-spondin 1 CMを添加した完全増殖培地で培養されました(full media P-0)。その後、以下3種類の培地で3回継代培養して比較しました。
● full media:Wnt3a および R-spondin 1 CM添加の完全増殖培地
● rec Rspondin1:R-spondin 1 CMの代わりに、Recombinant R-spondin 1* 添加の完全増殖培地
● no Rspondin1:R-spondin 1不含培地



R-spondin 1 CMをRecombinant R-spondin 1*に置き換えてもオルガノイドの成長に差異はなく、Recombinant R-spondin 1*が、PDAC腫瘍オルガノイドおよび正常膵臓オルガノイドの成長をサポートする点でR-spondin 1 CMに匹敵することが確認されました。

実験はコールドスプリングハーバーラボラトリーのDr. David TuvesonのラボでDennis Plenker、Ph.D.によって実施されました。


幹細胞培養使用例

尿由来幹細胞における未分化状態の維持

従前の研究では、尿由来幹細胞の培地からR-spondin 1を除去すると、マウスの腎臓前駆細胞分子が失われることが示されていました。このことから、培地にR-spondin 1を添加することで、ネフロン前駆体マーカーSIX2陽性の腎臓前駆細胞が維持される、すなわち未分化状態が維持されるのではないかという仮説が立てられました。
尿由来幹細胞を200 ng/mLのR-spondin 1*で5日間処理した後に細胞を固定し、SIX2を免疫蛍光染色したところ、以下の2点が明らかになりました。

R-spondin 1*は、尿由来幹細胞の形態を維持する
尿由来の幹細胞は、通常、小さな米粒様の形態をしており、核内にSIX2を発現します。R-spondin 1*を処理する前のコントロールと処理後の細胞を比較すると、R-spondin 1*で5日間処理した細胞はコントロールと同様の形態を示し、未分化状態を維持することが示されました。(右下図)

R-spondin 1*は尿由来幹細胞における核内SIX2発現を維持する
尿由来幹細胞におけるSIX2の発現は、未処理のコントロール染色像(左下図 左側)で見られるように、主に核内で確認されます。一部の細胞では細胞質にも観察されますが、これは細胞が分化していることを示しています。R-spondin 1*を5日間処理後の細胞においても、核内のSIX2発現が維持されている(左下図 右側)ことから、R-spondin 1*が尿由来幹細胞の未分化状態を維持していると考えられます。



実験は、デュッセルドルフ大学幹細胞研究再生医療研究所のJames Adjaye教授の研究室でLisa Nguyen(MSc)らによって実施されました。


R-Spondin 1 製品リスト

Code Product species reactivity 25 µg 50 µg 100 µg 500 µg 1000 µg
QK006 human R-spondin 1 human

R-spondin 1*:上記の試験データおよびオルガノイド培養使用例で使用した製品


関連製品

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QK031 human R-spondin 1 LR5 human

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Code Product species reactivity 25 µg 50 µg 100 µg 500 µg 1000 µg
QK032 human R-spondin 3 human

Qkine社について

Qkine社は、2016年にケンブリッジ大学のMarko Hyvönen博士の研究室から独立し設立されました。
Marko Hyvönen博士の研究室で開発された独自の製造プロセスとタンパク質工学技術を組み合わせて、生物活性を有する高純度のアニマルフリーのリコンビナントタンパク質を製造しています。
Qkine社は、動物由来成分フリー(ADCF)ラボで製造し、非常に厳格で堅牢な品質管理基準に合格したリコンビナントタンパク質製品を提供することにより、幹細胞、細胞小器官、再生医療分野の研究開発をサポートしています。

オルガノイド等の培養において、本製品を他の因子との組合せで使用する場合、当該他の因子の使用等に第三者の特許が存在する可能性がございます。本製品は、他の因子との組合せによる使用等まで保証するものではございませんので、当該他の因子との組合せで使用する場合に関しては、ご所属の知財部・調査機関へご確認のうえ、本製品をご利用ください。