トップ > 学ぶ・調べる > 実験の原理と方法 > 共免疫沈降(Co-IP)の原理と方法

2つの(あるいはそれ以上の)タンパク質の複合体を免疫沈降とほぼ同じ方法で分離する方法です。
複数のタンパク質の相互作用やその機能を調べる際によく使われます。

原理と方法

免疫沈降とほぼ同じ原理ですが、抗原のタンパク質が結合している相方のタンパク質を共沈しなければなりません。
共免疫沈降(Co-IP)の原理

タンパク質複合体のサブユニットのうち、どれかに対する抗体を用いて免疫沈降を実施します。
用いる抗体の選択が非常に重要で、タンパク質複合体の表面に結合する抗体を用意する必要があります。サブユニットにタグを附加して発現させ、抗タグ抗体を用いて免疫沈降する場合もあります。いずれの方法でも、多くの場合サブユニット間の結合は弱いため、細胞抽出液の調製法や洗浄条件が十分に検討される必要があります。

一般的には、検出しやすいタグ融合タンパク質で共免疫沈降の条件を検討しておいて、次に、内在性タンパク質で実験する方がよいかもしれません。
【関連】タグ融合タンパク質精製キットを用いたプルダウンアッセイ

複合体形成の証明としては、共免疫沈降だけでなく、蛍光タンパク質を用いてin vivoでのタンパク質相互作用解析するなど別の方法による検証も必要になってきます。
【関連】タンパク質間相互作用解析ツール Fluoppi
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AZ's point
内在性タンパク質に対して共免疫沈降する場合と、遺伝子組換え操作によりタグをつけて発現させたタグ融合タンパク質に対して共免疫沈降する場合ではそれぞれに注意点があります。


共免疫沈降における内在性タンパク質とタグ融合タンパク質の比較
内在性タンパク質 タグ融合タンパク質(プルダウンアッセイ)
主な利点 比較的自然な状態でのタンパク質複合体を検出できる。 末端にタグを附加すれば、複合体形成時にも抗体が結合できる可能性が高く、抗体の結合により 複合体形成が阻害されるリスクが低い。
注意点 複合体形成時に抗体結合部位が他のサブユニットによって隠れている場合がある。抗体の結合によって複合体形成が阻害される場合がある。 内在性タンパク質よりも非常に多い量のタンパク質を発現させるため、本来ならあり得ない結合を検出してしまうリスクがある。





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免疫沈降後のウエスタンブロッティングで、抗体由来のバンドが検出されないHRP標識抗体です。目的のタンパク質のバンドが、H鎖やL鎖のバンドと重なってしまう場合に特におすすめです。実験時間の短縮もできます。
複合体形成の証明に タンパク質間相互作用解析ツール Fluoppi
タンパク質間相互作用解析キット CoralHue™ Fluo-chase Kit








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