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Ser/Thrキナーゼの網羅的な検出ツール


抗Ser/Thrキナーゼ抗体

タンパク質の翻訳後修飾のひとつであるリン酸化は、細胞増殖、分化、代謝など、生体内で起こる様々な生命現象に深く関わっており、プロテインキナーゼと総称される酵素群がこのプロセスの中心的役割を果たしています。プロテインキナーゼの種類は豊富で、ヒトでは500 種類以上にも及びます。しかしながら、その機能の詳細が解明されたプロテインキナーゼは一部にすぎません。また微生物や植物においては、未知のプロテインキナーゼの存在が指摘されています。

抗Ser/Thrキナーゼ抗体 (マルチPK 抗体)は、既知のプロテインキナーゼの発現解析や未知のプロテインキナーゼの網羅的な研究に威力を発揮します。

Ser/Thrキナーゼの触媒ドメインのサブドメインである VIB ドメインは、 種を超えて保存されています。マルチPK抗体はこのVIB ドメインのアミノ酸配列を免疫原に用いているため、ヒト、マウス、ラット、植物、キノコなど、幅広い生物種に存在する多種多様なセリン/スレオニンキナーゼを検出することが出来ます。

マルチPK 抗体は、香川大学農学部応用生物科学科 亀下 勇 先生により発明されました(Kameshita, I., et al., Analytical Biochemistry 322, 215-224 (2003) 、特許第4340749号)。M1CとM8C、2つのクローンがあります。








実施例の紹介1:
プロテインキナーゼの網羅的探索(植物)

ミヤコグサの新規プロテインキナーゼを探索する目的で、マルチPK抗体M8CならびにM1Cを用いた発現スクリーニングを行いました。


ミヤコグサの各組織に対するウエスタンブロッティング



ミヤコグサの各組織それぞれに異なる複数のバンド(◀)が検出されました。組織別に異なるキナーゼが働いていることが示唆されます。

(参考文献5 Fig.1 を改変)



ミヤコグサの根粒より作製したcDNAライブラリを用いた発現クローニング

178 種類のポジティブクローンから、15 種類の新規キナーゼ遺伝子が同定されました。

(参考文献5 Table1 を改変)



実施例の紹介2:
新規カルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼの発見(キノコ)

ヒトヨタケから同定した新規キナーゼCoPK12に対するウエスタンブロッティング


ヒトヨタケのcDNAライブラリを用いた発現クローニングの結果、新規のカルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼ (CoPK12) を発見しました。

左図レーン1-3はリコンビナントのHisタグ融合CoPK12、レーン4はヒトヨタケ菌糸の細胞溶解液です。矢印は内在性のCoPK12由来のバンドです。

(参考文献2 Fig.2 を改変)

M8C と M1C それぞれのクローンの特徴

クローンM8Cは反応性が強く、キナーゼ由来の鮮明なバンドが確認できます。クローンM1Cは、より幅広くキナーゼを検出する傾向があります。

参考文献:
Kameshita, I., et al., Analytical Biochemistry 322, 215-224 (2003)
亀下勇、末吉紀行 生化学 第83巻 第4号 p330-p335 (2011)

発現スクリーニングなどで、広くキナーゼをカバーしたい場合には、両クローンを混合しての使用をご提案いたします。

参考文献:
Kameshita, I., et al., J. Biochem. 137, 33-39 (2005)
Kameshita, I., et al., Biochim. Biophys. Acta 1770, 1395-1403 (2007)

Anti-Ser/Thr kinase mAb (Clone: M8C) (Code No. D315-3) 詳細情報
Anti-Ser/Thr kinase mAb (Clone: M1C) (Code No. D314-3) 詳細情報


参考文献

  • Sugiyama, Y., et al., Calcium/calmodulin-dependent protein kinase IV involvement in the pathophysiology of glucotoxicity in rat pancreatic β-cells. Metabolism 60, 145-153 (2011) [PubMed: 20423744]
  • Kaneko, K., et al., Novel Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase expressed in actively growing mycelia of the basidiomycetous mushroom Coprinus cinereus. Biochim. Biophys. Acta. 1790, 71-79 (2009) [PubMed: 18786613]
  • Kameshita, I., et al., Cyclin-dependent kinase-like 5 binds and phosphorylates DNA methyltransferase 1. Biophys. Res. Commun. 377, 1162-1167 (2008) [PubMed: 18977197]
  • Kameshita, I., et al., Involvement of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinases in mycelial growth of the basidiomycetous mushroom, Coprinus cinereus. Biochim. Biophys. Acta. 1770, 1395-1403 (2007) [PubMed: 17640808]
  • Kameshita, I., et al., Expression cloning of a variety of novel protein kinase in Lotus japonicus. J. Biochem. 137, 33-39 (2005) [PubMed: 15713881]
  • Kinoshita, S., et al., Cloning and characterization of a novel Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase I homologue in Xenopus laevis. J. Biochem. 135, 619-630 (2004) [PubMed: 15173201]
  • Kameshita, I., et al., A new approach for the detection of multiple protein kinases using monoclonal antibodies directed to the highly conserved region of protein kinases. Anal. Biochem. 322, 215-224 (2003) [PubMed: 14596830]