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RiboCluster Profiler™


広がるRNA世界

ますます注目されてきているRNA世界をご紹介!
RBPの機能別にご利用可能な抗体もご覧いただけます。

RiboClusterとは、ある特定の疾患や機能に関連したmRNAやmiRNAなどのRNAとRNA結合タンパク質(RBP)が集合体(クラスター)として機能していると考える概念です。本ページでは、RNAワールドの多彩な機能や調節機構を解説するとともに、MBL独自に開発した高品質なRBP抗体についてRBPの機能ごとにご紹介します。

mRNA品質管理機構

☆印の付いた機能分類名をクリックしていただくと、各機能の説明および関連抗体製品リストへのリンクをご覧いただけます。



mRNAが核内でDNAから転写されリボソームで翻訳されるまでの間には、様々な品質管理・制御機構が介在しています。これらのプロセスにおいて中心的な役割を担っているのがRBPであり、機能的に関連性のあるmRNA群の細胞内挙動をクラスター形成を介して制御していると考えられています。



Non-coding RNA

 タンパク質に翻訳されるmRNAに対し、タンパク質をコードしないRNAを総称してnon-coding RNA (ncRNA) と呼びます。従来から知られているリボソームRNA(rRNA)やトランスファーRNA(tRNA)もncRNAに分類されます。RNA interference (RNAi) 経路において機能的に重要な役割を担っているsmall ncRNA (miRNA、siRNA、piRNA) や、核内機能ドメイン構築への関与が多数報告されている長鎖のmRNA型ncRNAなどが注目を集めています。



miRNA経路

 microRNA (miRNA) は、核内でstem-loop構造を保ったままDroshaなどによって切り出され、precursor miRNA (pre-miRNA)として細胞質へと輸送されます。pre-miRNAは、RNase III活性を有するDicerにより21-25ntの2本鎖RNAへと変換された後、Argonauteタンパク質(AGO)に取り込まれます。2 本鎖RNAのうち、passenger鎖が除去/分解されることでguide鎖が標的mRNAの3' 非翻訳領域(3'-UTR)に結合できるようになり、翻訳抑制機構が働くと考えられています。



siRNA経路

 short interfering RNA (siRNA) は、ウイルス感染などの様々な要因で生じる長い2本鎖RNA (dsRNA) が由来とされています。 Dicerにより、長いdsRNAが21-25ntの2本鎖RNA (siRNAduplex) へと変換されます。siRNA duplexのうち、guide 鎖がRISC (RNA-induced silencing complex) 中のAGOに取り込まれ、silencerとして機能します。RISCに取り込まれなかったpassenger鎖は分解されます。



製品リストpiRNA経路

 PIWI-interacting RNA (piRNA) は、トランスポゾンの転写産物の1本鎖RNAが由来とされ、DicerなどのRNaseIII活性を持つタンパク質によるプロセシングを必要としないprimary processing pathwayを介して生合成されます。生殖細胞特異的な発現が認められているPIWIタンパク質にローディングされることにより、トランスポゾンのsilencingに寄与していると考えられています。



mRNA型ncRNAと核内機能ドメイン

 近年のトランスクリプトーム解析の発展により、ヒトにおいては、全ゲノム領域の9割以上が転写されているとの知見が得られています。また、ヒトの場合、RNAに転写されるゲノム情報の95%以上がncRNAであると見積もられています。つまり、転写されて生じるRNA の大部分はncRNAであるということになりますが、これらのncRNAの大半がアノテーションをつけられておらず、どのような機能を有しているのか理解されていないのが現状です。これらの中には、タンパク質はコードしないが転写後のプロセシングを受けるmRNA型ncRNAの存在も確認されています。 RNA研究が盛んになるにつれて、mRNA型ncRNAの大半は核内に留まり、様々な機能ドメイン構築に関与しているという事が次第に明らかとなってきました。ncRNAやRBPなどで構成される核内機能ドメインにおいては、機能単位ごとにncRNAやRBPが時空間的に制御・配列されてクラスター(集合体)を形成しており、MBLの提唱しているRiboClusterという概念を裏付けるものとして注目されています。



製品リストプロセシング

プロセシング ゲノムから転写された前駆体mRNA
(pre-mRNA)は、5' 末端のキャッピング、3' 末端の切断およびポリA 鎖の付加、スプライシングといったRNA プロセシングを受けて成熟mRNA となります。スプライシングでは、イントロン(intron)配列が除去されてエキソン(exon)部分が連結されます。様々なRBP が関わることでオルタナティブスプライシングが誘発され、
タンパク質のバリエーションが増えています。


製品リスト輸送

 核内で転写され、一連のプロセシング(5'- キャッピング、スプライシング、3'- ポリアデニレーション)を受けた mRNA は、TAP や RanGTP 、及び様々な RBP を介して細胞質へと輸送されます。RNAの核から細胞質への輸送は厳密に制御されており、RBP はこの品質管理機構においても重要な役割を担っています。


製品リスト安定化・分解制御

 AU-rich element (ARE) は、おもにmRNAの 3'-UTR に存在するアデニン(A)とウラシル(U)に富んだ領域です。 endonuclease 活性を有する RBP がこの領域に結合することで mRNA の分解が開始されます。癌遺伝子やサイトカインなど、外 部刺激に対する応答因子、いわゆる early response gene の mRNA の半減期が短いのは、これらの mRNA に ARE が多く存在していることに起因します。HuR など、ある種のRBP はAREに結合し、endonuclease のアクセスを阻害することで標的 mRNA の安定性を制御しています。この他にも、mRNA の安定化・分解にかかわる cis-element は複数知られており、様々な機能をもつ RBP がこれらの領域に結合することで、mRNA の品質管理が行われています。




製品リスト翻訳制御

 mRNAは、より効率的かつ安定的な翻訳を行うためにclosed-loop構造を形成します。基本的には、キャップ結合タンパク質eIF4E及びpoly (A) binding protein (PABP) がscaffold proteinであるeIF4Gを介してループを形成し、その安定化にHuタンパク質などが関連しているといわれています。




製品リスト局在化

 核から細胞質へと輸送された RNA は、局在化を司るRBPや細胞骨格に結合するモータータンパク質およびアダプタータンパク質を介して末梢へと運ばれ、翻訳されます。また、RBPによる結合は、RNA が必要とされる場所に局在化されるまでの間、分解因子の攻撃からRNAを保護する役割も担っています。RBPは、"必要な時"に"必要な場所"で RNA が効率よく翻訳されるように 時空間的な制御を行うことが明らかとなっています。



製品リストRNAi 経路 (miRNA/siRNA/piRNA)

 真核生物において、RNAi(RNA interference)は配列特異的な遺伝子サイレンシング機構として重要な役割を担っています。RNAiや関連する遺伝子サイレンシング経路においては、RISC(RNA-induced silencing complex)に取り込まれてガイド分子として機能するsmall ncRNA の存在が重要であり、microRNA(miRNA)、short interfering RNA(siRNA)、PIWI-interacting RNA(piRNA)の3種類に大別されます。これらの small ncRNA は、自分自身の塩基配列と対合できる標的配列をもつ様々な遺伝子の翻訳を抑制する働きがあり、生物の発生のタイミングや形態形成、細胞増殖や癌化など、非常に重要な生物学的機能を緻密に制御していることが知られています。
small ncRNA はそれ単独で働くわけではなく、RISC の中心的タンパク質である Argonaute ファミリータンパク質(AGO)に取り込 まれて初めて機能を発揮します。RISC 中の small ncRNA が標的 mRNA を認識するガイドとして機能し、AGOやGW182からなるRISC構成因子が作用することにより、標的 mRNA の翻訳抑制や分解などが生じます。近年では、このような small ncRNA を介した転写後遺伝子発現制御に対する関心が非常に高まっています。

製品リストRNA 修飾

DNA やRNA の一部の塩基やリボースは化学修飾を受けていて遺伝子発現制御に関与しています。代表的な例として、DNA メチル化による転写抑制やtRNA 修飾による翻訳制御があります。DNA やRNA の修飾状態の変化は発生や概日リズム、がんなどの疾患に関連することが報告されています。


その他の機能

RBP は、上記以外にも転写制御や翻訳に必要な rRNA および tRNA の生合成、さらにミトコンドリア生合成やウィルス複製など細胞内の多様なイベントにも関与していることが知られています。

転写制御
ミトコンドリア合成