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MHCテトラマーの検出原理・作製方法・特徴



抗原特異的なCTLを選択的に検出できます

T細胞上に発現しているT細胞受容体(T-cell receptor, TCR)は、MHC分子とペプチド断片の複合体(MHC/peptide complex)を特異的に認識して結合します。CD8陽性T細胞は、MHC class I分子とペプチド断片の複合体(MHC class I/peptide complex)を認識して、ウィルス感染細胞やがん細胞などの標的細胞を直接攻撃・排除することから、細胞傷害性T細胞(Cytotoxic T Lymphocyte, CTL)と呼ばれています。一方、CD4陽性T細胞は、MHC class II分子とペプチド断片の複合体(MHC class II/peptide complex)を認識して活性化します。CD4陽性T細胞は主にヘルパーT(Th)細胞と呼ばれ、細胞性免疫を司るCTLやマクロファージなどに作用するTh1細胞と、樹状細胞やB細胞に作用して液性免疫を賦活化するTh2細胞が存在します。1996年、AltmanらはMHC Tetramer試薬を用いて、これらの特異的T細胞をフローサイトメトリーにより1個ずつ検出することに成功しました。MHC Tetramer試薬は、これまでサイトカインの産生や細胞傷害性活性の確認などで間接的にしか捉えることができなかった抗原特異的T細胞を直接的に検出することを可能にしただけでなく、抗原特異的T細胞の分離にも利用できるため、抗原特異的T細胞の機能やフェノタイプ等の詳細な解析を可能にしました。現在、 MHC Tetramer試薬は、感染症やがんワクチン療法、細胞免疫療法、移植免疫、自己免疫疾患などの基礎研究分野あるいは臨床開発において、T細胞免疫応答のモニタリングに欠かす事のできないツールとして広く利用されています。

MHC Tetramerによる抗原特異的T細胞の検出原理

検出原理細胞受容体(TCR)は、抗原提示細胞(APC)に発現するMHC分子と、APC内でプロセスされた特定のペプチド配列からなる複合体(MHC/ペプチド複合体)を認識して特異的に結合することで、T細胞を活性化させることが知られています。この原理を利用して、MHC/ペプチド複合体を用いた抗原特異的T細胞の検出が可能であると考えられました。しかし、MHC/ペプチド複合体は、単量体(モノマー)の状態ではTCRに対する親和性が低く、両者の結合が不安定であるため、そのままでは検出ツールとしての応用は困難でした。そこで、MHC/ペプチド複合体をビオチン化し、ストレプトアビジンによりこれを4量体(テトラマー)化することで、TCRとの安定的な結合状態を維持させることで検出ツールとしての応用が可能になりました。T-Select MHC Tetramerは、FITC、PEあるいはAPC(allophycocyanin)などの蛍光物質で標識されているため、フローサイトメーターや蛍光顕微鏡を用いて、抗原特異的T細胞の検出が可能です。


T-Select MHC class I Tetramer試薬の作製方法

検出原理
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MHC class I Tetramer試薬の作製には、Altmanらにより考案された方法が広く用いられています。Altmanらは、MHC class I/ペプチド複合体の4量体をプローブとして利用することが抗原特異的CTLの検出、定量に有用であることを実証しました (Science 1996, 274: 94−96)。また、Bodinierらは、HLA class I heavy chain α3ドメインに変異(A245V)を入れることで、CD8分子との非特異的な結合が最小限に抑えられ、特異性が飛躍的に向上することを報告しました (Nat. Med. 2000, 6: 707−710)。このことより、T-Select Human HLA class I Tetramerは、α3ドメインに変異を入れたHLA class I heavy chainを用いて作製しています。 作製過程の概略を右図に示しました。 大腸菌リコンビナント蛋白質のMHC class I heavy chainとβ2-microglobulin(β2m)に抗原ペプチドを加えてフォールディング操作を行い、可溶性のMHC class I/ペプチド複合体のモノマーを形成させます。次に、複合体中のMHC class I heavy chainのC末端にあらかじめ付加しておいたビオチン化配列中のリジン残基を、BirA酵素(E. coli biotin holoenzyme synthetase)を用いてビオチン化します。ビオチン化モノマーは、カラムクロマトグラフィーにて精製します。精製ビオチン化モノマーは、蛍光標識したストレプトアビジンと混合することで4量体化させ、T-Select MHC Tetramer試薬となります。