体内の免疫機構は外部から侵入した病原体だけでなく、内部に発生したがん細胞に対しても働いています。通常であればがん細胞は自己でないものとみなされ、活性化した細胞傷害性T細胞(CTL)やマクロファージなどがPerforinやTNF-αを産生して、がん細胞を攻撃・排除します。しかし、持続的に抗原刺激が起こると、CTLの膜表面に免疫チェックポイント分子が発現します。この分子にはPD-1、CTLA-4などが知られており、これらを発現したT細胞は細胞傷害性が低下し、がん細胞を攻撃できなくなります。これががん細胞局所的にCTLが機能できない状況を引き起こしていると考えられています。一方がん細胞側では免疫チェックポイント分子のリガンドであるPD-L1やCD80を発現しており、さらに免疫抑制性サイトカインIL-10やTGF-βなどを分泌することで、CTLの活性を抑制しています。
以前は免疫力を増強させてがん細胞に対する免疫力を上げるための治療法が開発されてきましたが、近年はこの免疫チェックポイント分子とリガンドとの結合を阻害する、免疫チェックポイント阻害剤によるがんの治療が注目されています。
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T細胞 | T細胞の活性化・不活化シグナル | 抗原提示細胞 |
---|---|---|
PD1 | - (不活化) |
PD-L1 |
CTLA4 | - | CD80/CD86 |
(TIM3) | - | GAL9 |
CD28(B7-1) | + (活性化) |
CD80/CD86 |
CD137 | + | CD137L |
OX40 | + | OX40L |
CD40 | +
(抗原提示細胞活性化)
|
CD40L |
(BTLA) | - | HVEM |
CD27 | + | (CD70) |
今、注目の免疫チェックポイント!
PD-1, PD-L1 は免疫チェックポイント分子の中でも最も注目を集めている分子の一つです。MBLでは、これまでに販売してきたフローサイトメトリー等に使用可能なモノクローナル抗体に加えて、この度、セルアッセイに最適な低エンドトキシンのFunctional Grade 抗体を発売いたしました。
ヒトPBMCに対しPHA刺激を行い、フローサイトメトリーで測定しました。
下記使用文献において、Adhesion assay に使われ、機能抗体としての報告がある抗体です。
Butte MJ et al. Mol Immunol. 45, 3567-72 (2008) (PMID:18585785)