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MHCとは?


臓器移植が簡単に行えない理由

MHC (Major Histocompatibility Complex; 主要組織適合性複合体)

私たちの細胞の表面には、MHCという糖タンパク質がたくさん(細胞1つあたり10万の単位で)発現しています。ヒトにおけるMHCのことをHLA(Human Leukocyte Antigen; ヒト白血球抗原)といいます。HLAを規定している遺伝子領域は第6番染色体短腕にあり、タンパク質の構造および機能の違いから、クラスI(HLA-A、-B、-C など)、クラスII(HLA-DR、-DQ、-DP など )、クラスIII の遺伝子領域に分類されています。HLAはヒトのなかで最も多型性(個人差)を示す遺伝子で、現在、HLA-A、-B、-C および-DRで1万種を超える遺伝子型が知られています。そのため、個体によって細胞表面に発現しているHLA分子は非常に多様性に富んでいます。これにより、自己と非自己(外来の細菌やウイルス)を識別し、免疫反応を開始できます。

骨髄移植や臓器移植では、白血球のHLA型が一致しない移植片は非自己とみなされるため、HLA型の一致・不一致が治療効果に大きく影響を与えます。

MHCに抗原ペプチドをのせる

MHCクラスIと細胞内抗原ペプチド

MHCクラスIと細胞内抗原ペプチドすべての有核細胞は、MHCクラスI分子を持っていて、細胞内の抗原物質をペプチドに分解し、MHCクラスI分子とともに提示します。また、樹状細胞、マクロファージ、B細胞は、MHCクラスIIも発現していて、外来性の抗原ペプチドをMHCクラスIIとともに提示します。これらの細胞を抗原提示細胞と呼んでいます。
細胞内抗原タンパク質(例えばウイルスが感染した細胞内で合成したウイルスタンパク質)は種々のタンパク質分解酵素をもつプロテアソームでペプチドに分解されます。抗原ペプチドは小胞体膜に存在する抗原処理関連トランスポーター(TAP) により小胞体内に運搬されてクラスI分子に結合し、ゴルジ体を経て細胞表面に運ばれます。



MHCクラスIIと細胞外抗原ペプチド

MHCクラスIIと細胞外抗原ペプチド細胞外の抗原(細菌、ウイルス粒子、可溶性タンパク質等)はエンドサイトーシスやファゴサイトーシスによって細胞内に取り込まれます。このような小胞はリソソームと融合し、結果として細胞外抗原由来のペプチドを生成します。新しく合成されたMHCクラスII分子のα鎖とβ鎖はリボソームから小胞体に移動し、蓋の役目をするインバリアント鎖と会合します。抗原ペプチドが膜融合によって入ってくると、インバリアント鎖がはずれ、抗原ペプチドと結合したMHCクラスII分子は小胞輸送で細胞表面に運ばれます。