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MHCとT細胞との関わり


MHCとT細胞

MHCとT細胞

T細胞は、T細胞受容体 (TCR) だけでなく、補助受容体であるCD8、CD4と共にMHC分子に接触します。細胞傷害性T細胞(CTL)は表面にCD8を発現しており、クラスI MHC分子と結合します。CTLは、ウイルス感染細胞などの標的細胞を認識することでパーフォリンやグランザイムを放出し、直接アポトーシスを誘導して傷害します。

ヘルパーT細胞(Th細胞)は表面にCD4を発現し、クラスII MHC分子を表面に発現した細胞と結合します。Th1細胞はIL-2やIFN-γを産生し、CTLやマクロファージ、NK細胞を活性化します。Th2細胞はIL-4などのサイトカインを産生し、B細胞を活性します。Th17細胞はIL-17を産生し、炎症に関与します。制御性T細胞(Treg)はTGF-βやIL-10を産生し、いったん始まった免疫応答を能動的に終結させる機能をもっていると考えられています。

がんワクチン

がん細胞では、細胞内でがんに特異的なタンパク質がペプチドまで分解され、がん細胞表面にあるMHCクラスI分子と共にがん抗原ペプチドとして提示されます。それを認識するがん抗原ペプチド特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)が活性化され、がん細胞を攻撃します。しかし、CTLの数と力(免疫力)が十分でない場合、がんは増殖と転移を続けて悪性化します。がんワクチン療法は、抗原ペプチドを患者の血管内に投与し、がんに特異的なCTLを強力に誘導することでがんを治療する方法です。がんワクチン療法の効果を更に強めるため、がん抗原ペプチドを提示する樹状細胞などの抗原提示細胞を用いた工夫や、遺伝子治療との併用などの研究が進められています。

MHC Tetramer試薬とは

T細胞上に発現しているT細胞受容体(T-cell receptor, TCR)は、MHC分子とペプチド断片の複合体(MHC-peptide Complex)を特異的に認識して結合します。1996年、AltmanらはMHC Tetramer試薬を用いて、これらの抗原特異的T細胞をフローサイトメトリーにより1個ずつ検出することに成功しました。MHC Tetramer試薬は、これまでサイトカインの産生や細胞傷害性活性の確認などで間接的にしか捉えることができなかった抗原特異的T細胞を直接的に検出することを可能にしただけでなく、抗原特異的T細胞の分離にも利用できるため、抗原特異的T細胞の機能やフェノタイプ等の詳細な解析を可能にしました。MBLは、MHC Tetramer試薬が感染症やがんワクチン療法のみならず、細胞免疫療法、移植免疫、自己免疫疾患などの基礎および臨床研究にも広く利用されることを目指し、体外診断薬医薬品としての可能性も視野に入れて事業を発展させていきたいと考えております。

 

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